令和4年度 第9号

●自分を見つめる一年に                   校長 住吉 豊 

 

新年あけましておめでとうございます。

新たな年を迎え、生徒教員にとって年度のまとめの学期が始まりました。よく12月は「師走」と言い、師が忙しそうに走り回る様子の例(たと)え(所説あるようです)ですが、さしあたって1月は生徒が忙しく走り回る時でしょうか。特に3年生は、後10日ほどで私立高校や都立高校の入学試験が始まります。毎年、1月2月を受験で慌(あわ)ただしく過ごして、あっという間に3月の卒業式を迎えている気がします。

また、3学期は、1年生にとっては4月から下級生を迎える上級生としての心構えをする時であり、2年生は最上級生になるにあたっての自覚を高める時でもあります。そして、3年生は受験が終われば、後輩に五中への思いを託し、清新な気持ちで次の進路のスタートについて考える時でもあるでしょう。3年生の多くの生徒が、地域の仲間と共に義務教育の9年間をこの東大和の地で過ごしてきたわけですが、ここからは各自が選択した進路に向けて多くは東大和の地を飛び出して歩んでいきます。その中で関わりあう人との世界は、今までよりも一回り広がります。さらにその先大学等に進学すれば、日本の様々なところから志を同じく入学してきた人と触れ合う中で、学業以外にも学ぶことは多いでしょう。

今までは狭い人間関係の中で、もしかしたら周りの人との関係を必要以上に気遣い、仮面を通しての友人関係だった人もいるかもしれません。また、自分に自信がもてず、自分を正直に出すことができない人もいるでしょう。そんなことに嫌気がさして、残念ながら学校という集団生活を通して学ぶ場から足が遠のいたり、人とのかかわりを避けるようになったりする人もいるのかもしれません。また、中学生くらいの時には身近な人を理想像に、「なんであの人は誰とでも楽しくおしゃべりできるのだろう」とか「あの人のようにもっとスポーツがうまくなりたい」とか、「もっと勉強ができるようになりたい」等と、自分もあんな風になりたい、変わりたいという思いをもつ人もいるのではないでしょうか。

しかし、一人一人がもっている価値、自分にしかない良さはなかなか自分では気づかないもの。そんな自分の良さを見つける一年にして欲しいなと思います。以下に金子みすゞ(ず)さんの詩を載せてみました。有名な詩ですので読んだことがある方も多いかと思います。

「私と小鳥と鈴と」

私が両手をひろげても、

お空はちっとも飛べないが

飛べる小鳥は私のように、

地面を速くは走れない。

 

私がからだをゆすっても、

きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のように

たくさんな唄は知らないよ。

 

鈴と、小鳥と、それから私、

みんなちがって、みんないい。

 

 

更新日:2023年01月11日 10:36:24