令和4年度 第8号

○「縁の下の力持ち」

校長 住吉 豊

 先日行われたサッカーのワールドカップも、日本代表選手の活躍で大いに盛り上がりましたが、残念ながら悲願のベスト8に入ることはできませんでした。当初、世界を代表する強豪国であるドイツやスペインと同じ予選リーグに入ることが決まった際には、決勝トーナメントに出ることすらも厳しいだろうという前評判でした。ですが、皆さんもご存じのように、強豪ドイツを2本のシュートで堂々破り、背水の陣で臨んだスペイン戦もライン際での粘り強さが光り、何とか競り勝つことができました。

 12月の生徒会朝礼で、生徒会長の2年立川悠真くんが話した、ワールドカップの「3番目のゴールキーパー」の話が心に残っているのでちょっと紹介します。「3番目のゴールキーパーはほとんど試合に出ることはないでしょう。ではその役割はなにか。多くはベテランの選手が選ばれています。その選手に期待されていることはベテランとしてのチームの雰囲気づくりやアドバイスです。」だとか。なるほど、今大会では前大会で正キーパーの川島選手が選ばれており、多くの場面で選手に声をかける姿が見られました。試合に出ることはないのかもしれないけれど、大きな役割を自覚して若手の選手と共に大会に臨んでいるのだなと思いました。日本チームの「縁の下の力持ち」というところでしょうか。堂安選手や三苫選手等のように脚光を浴びることはないけれど、見えないところで支える人たちがいたからこそ、日本チームも活躍できたのだと思います。

私が30代前半の頃、今から30年ほど前になりますが、よく話題に上る「ドーハの悲劇」というものがありました。アジアの予選でグループ1位のところ、あと1勝すればワールドカップに出られるという試合で、ロスタイムに同点にされてしまい涙を飲んだ出来事です。あの相手のゴールが決まった瞬間、「あ~」という落胆の声が近所の家々から聞こえてきたことを思い出します。当時はまだ外国に出て活躍する選手もそれほどおらず、個人の技術や競り合う力も外国の選手とは大きな違いがありました。英語やスペイン語を話せる選手もほとんどおらず、外国チームとの闘いでは審判へのアピールもできないと感じる場面もありました。それからしばらくして、日本代表チームキャプテンの宮本選手が、試合の中で外国人の審判に主張する姿は日本にもこんな選手がいたのかと思ったことを覚えています。

 今は選手がインタビューに回答するのも、日本のテレビ向けには日本語で、海外のインタビューには英語やスペイン語で当たり前のように堂々と話している姿を見ると、日本の選手が世界で活躍することが当たり前のようになったことを強く感じます。

 令和5年度の都立入試からはスピーキングテスト(20点満点)も始まり、英語を話す力がより求められています。入試に使うことへの意見は色々ありますが、言語の違いを超えて自己の考えを主張する、相手の考えを理解する上でもより一層これからの時代を生きる生徒には求められる力だと思います。

 さて、いつもは部活動で活躍した生徒を朝礼で表彰していますが、先日は漢字検定試験で優秀な成績(漢字検定2級)を収めた生徒を表彰しました。今回は終業式に第2回の「英検」において中学生としては優秀な成績(英語検定2級)を納めた生徒を表彰することにしました。今年英検2級には3年生から2名合格、準2級には2・3年生合わせて9名が合格しました。特に英検2級の取得は良く努力した結果だと思います。本校は全校生徒数が少ないわりに英検2級、準2級にチャレンジする生徒が多いと感じます。それぞれが目標をもって、様々なことにチャレンジするのは素晴らしいことだと思います。「光る五中」を創る生徒たちの一面を見た様に思います。

 最後になりましたが、今年も保護者、地域の皆様には様々な場面でご協力を賜りありがとうございました。来年も子供たちにとって良き一年になるように、本校教員一同努力していきますのでよろしくお願いいたします。

 

更新日:2022年12月23日 14:41:53