令和7年度 第7号
不登校35万人時代の進路を考える 校長
ちょっと何を大げさな・・?という表題ですが、35万人は日本国内の小中学校の不登校児童生徒の数です。ちょっとピンときませんが、東大和市の人口が約8万5000人と聞くとどうでしょうか。ざっと4倍を超えます。
不登校生徒に初めて出会ったのは、40年ほど前の初任での学校でした。クラスに1人いたかどうかという時代です。たまに学年だよりなどの通知をもって、家庭訪問したことを覚えています。その当時の不登校というと、家や部屋に引きこもっている生徒も多く、訪問しても会えないことも多々ありました。学校に行くのが当たり前という時代ですから、きっと保護者の方も葛藤が大きかったと思います。もちろん教員も学校に来させることを第一に考えていました。今は選択的な不登校といいますか、「学校は行きたくない」けれども、「他の場所ならいける」という生徒の方がむしろ多数のように感じます。
年度末には、不登校で出席日数が少ない生徒や保護者の方と、卒業や進級に向けて面談をします。特に3年生は卒業に向けての認定が必要ですので、基本不登校の生徒とは全員と面談をします。過去には卒業してしまうともう中学校の勉強ができなくなるというので、原級留め置き(進級、卒業しないこと)を希望して夜間中学に転校した生徒もいましたが、これは稀(まれ)な例です。面談の際に卒業後の進路のことや将来の夢などについて話しをするのですが、それぞれが屈託なく自分の考えをしっかりと話してくれます。学ぶ場は違いますが、どこかに所属してそれぞれに合った場で頑張っている姿を見ると、「将来は周りとかかわって社会の中で頑張っていけるかな」と、ちょっとほっとします。
昔は進学先を探すのが大変でした。高校への進学をあきらめる生徒もいました。今は、中学での出席日数を問わないような、私立のサポートスクールや専修学校も多数あります。そこでは通信制の高等学校と連携して、高校卒業資格を取得することができる学校もあります。テレビのコマーシャルで、そういった学校を見かけることも増えました。また、都立においては定時制やチャレンジスクールを進路先に選ぶ生徒も多いです。昔の高校の普通科は、ほぼカリキュラムが同じでどこも似たようなものでしたが、今は生徒に合わせて多様な学校が存在します。定時制といっても夜間だけではありません。今は昼夜間の3部制の学校もあり、近くでは砂川高校があります。主(おも)に働く人の学びの場だった定時制も、今は不登校だった生徒だけでなく様々な生徒の学びの場になっています。また、学力検査によらない、本人の学びの意欲を見る入試を掲げるチャレンジスクールやエンカレッジスクールでは、「社会につながる学び」や「学びなおし」に力を入れています。近くでは、昨年立川緑高校がチャレンジスクールとして開校しました。また、エンカレッジスクールとして形を変えた東村山高校や中野工業高校などもあります。ひとまとめに書きましたが、詳しくは学校ごとに異なるところもありますので調べてみてください。そして、どの学校が自分に合っているのかは、実際に自分の目で見て考えてほしいと思います。
不登校の生徒に限らず、どの生徒も自分の将来について夢や希望をもって、今を頑張ってほしいと思います。
更新日:2025年11月21日 09:46:28