令和4年度 第11号

○皆さまのご協力に感謝します  

                           校長 住吉 豊 

 今年度も残念ながら感染対策への取り組みを継続しなければならず、早3年が経ちました。日常生活においてはマスクをほとんど付けたまま、相手との距離感や咳一つにも気を配らなくてはならない生活は、大人も子供も息苦しいものだったと思います。そのような状況の中において、タイミングを見極めながらできることできないことを考えて、皆で教育活動に取り組んで参りました。五中の生徒を見ながら、生徒を取り巻く環境の改善に努めてきたつもりではあります。まだまだ課題はあるかとは思いますが、生徒や外の声にも耳を傾けて今後も取り組んで参りたいと思っています。一年間のご支援ご協力ありがとうございました。

 以下に卒業式での式辞を載せました。ご覧いただければと思います。

式 辞

 校庭の桜のつぼみも膨らみ、春の息吹が感じられるようになって参りました。このハレの日に、第40回卒業式を挙行するにあたり、東大和市教育委員会教育委員の鈴木一徳様、保護者の皆様方にご臨席を賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。

 まずは、先ほど卒業証書を受け取った95名の3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。これで小学校から続く9年間の義務教育を、全て終えたことになります。 

 この長い間、皆さんを一番近くで今まで支え、見守ってくださった保護者の方をはじめ、お世話になった方々への感謝の気持ちを大切にしてほしいと思います。

 さて、この3年間は新型コロナウィルスへの感染対策のために、マスクを通しての生活を余儀なくされました。学習もオンライン等の新しい取り組みが始まりました。初めの頃は自宅での学習となり、クラスの友達と会えない日々も続きました。運動会や合唱コンクールも中止になり、宿泊行事も無くなりました。そのような日々の生活の中で、学校という場所が、英数国等の学習のためだけではない場であることに、多くの人も気づいたはずです。

 学校が学びに集う場所である意義は、人と人との関りの中で、教科の勉強以外にも多くのことを学ぶ場であるということです。様々な行事を通してクラスの仲間と。部活動を通して共に汗をかいた仲間と。喜びを分かち合い、涙を流し、喧嘩し、時に先生に叱られた心の中の思い出は、皆さん一人一人の成長を培ってきたことと思います。

 さて、毎年3月を迎える頃になるとテレビ等でも東日本大震災が話題にのぼります。

皆さんは「森は海の恋人」という言葉を聞いたことがありますか。実はこれは畠山 重篤(しげあつ)さんという、元々は「カキ」の養殖を営む漁師さんが書いた本の題名です。

 この方は、「カキ」の養殖をするかたわら、30年近くにわたって、宮城県の気仙沼の海に流れ込む川の上流の山に、2万本以上の木を植える活動を続けてきました。漁師さんが木を植える活動に熱心に取り組んだのはなぜでしょうか。実は、森の落ち葉から雨水に溶けだした養分が、川を伝い、海に流れ込むことで、より多くのプランクトンが発生し、それをえさとする「カキ」が豊に育つのです。だから、山の土の養分を豊にする事は、めぐり巡って海で美味しい「カキ」を育てることになります。もちろん、豊かな養分を含む川の水は、畑の農作物も豊に実らせます。畠山さんは川の流域に住む人々が川の水を汚さないように、環境保全に向けて協力を求めることにも力を入れました。

 

 その様な中、今から12年前の3月11日、東日本大震災は起こりました。大きな津波によって、海に浮かべた「カキ」の養殖いかだ全てが流されました。海は家や車などのがれきで埋まり、泥が積もり、養殖ができる環境ではなかったそうです。ですが、「海は必ず元通りになる」という信念の下、今自分ができることを精一杯やることだけを考えて、復興に取り組んできたそうです。その中で、地道に、粘り強く、あきらめずに物事に取り組むことの大切さや、一人の力は小さくとも、志を同じにする仲間と力を合わせれば、周りを変えていくことができる、ということを学んだそうです。

 これからは、皆さんも、新しい生活の中で困難なことにぶつかることも多々あるでしょう。皆さんに願うのは、「親が、先生が、友達が、自分に何かしてくれるだろう」と他人に頼る前に、自ら、「家族のため、友達のため、地域のため、周りの人のために、今、自分は何ができるのか、何をすべきなのか」を考え、粘り強く努力できる人に成って欲しいということです。きっとその思いや行動は、自分の身に返ってきます。受け身の自分から一歩踏み出して、自分で考え、判断し、正しい行動ができる力を身に付けることが、これからの皆さんの生き方にとって大切です。

 最後になりますが、今日までお子様の健康を気遣い、良き成長を願って、本校の教育活動にご理解ご協力くださった保護者のみなさま。また、温かい目で成長を見守り、ご支援、御指導賜りました東大和市教育委員会の皆様に感謝を申し上げ、式辞といたします。

令和5年3月17日 東大和市立第五中学校

                  校長 住吉 豊

 

更新日:2023年03月22日 14:19:59