令和2年度 第15号

 〇第38回卒業式式辞   校長  和田 孝 

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 私の前には92名の卒業生がいます。その清々しい姿は希望にあふれ、未来という言葉がとても似合います。私たち第五中学校の教職員一同は、皆さんが巣立つこの瞬間の喜びと寂しさを噛みしめているところです。

 さて、今日は皆さんの門出にあたり、今後一層、発展するであろう未来についてお話をしたいと思います。今、皆さんは社会が激しく変化する中で生活をしています。この変化の速さはさらに増していくようです。6年後の開業を予定しているリニア新幹線は時速500kmで運転され、東京と大阪を1時間7分で結びます。現在の新幹線は時速285km、東京と大阪を2時間15分で移動していますので、途方もない速さです。また、国内では既に水素と燃料とする自動車が発売されています。空気中の酸素を取り込んで水素と反応させて発電し、走行します。排気ガスの代わりに水が生成され、さらには取り込んだ空気中の化学物質や塵を取り除き、走れば走るほど空気をきれいにします。駅の改札では5年後の実用化を目指してゲートの無い、床だけの自動改札が設置されそうです。車椅子やベビーカーを使用する方、目の不自由な方が通過しやすくなります。

 さらに、新型コロナウイルスの感染が治まらない生活の中で、タッチレス化が進んでいます。エレベーターでは空中にボタンを表示させて触らずに操作する、非接触型の装置が実用化されつつあります。スマートフォンは既に実用化されて10年が経ち、次の技術革新が迫っていると予測されています。その一端として、スマートスピーカーがあります。皆さんの中には自宅でインターネットを利用して、音楽鑑賞や調べもののサービスを利用している方もいると思います。スマートスピーカーは声だけで操作することができるので、画面をタップする必要がありません。入力という操作や考え方は過去のものとなりそうです。

 より、スケールの大きいものでとらえますと、先月、アメリカ合衆国のNASAは最新の火星探査機を着陸させました。地球から7ヵ月で到着することから、技術的には有人宇宙船で着陸することが可能だとされています。遠くない将来に人類が火星に降り立つかも知れません。

 卒業生の皆さんは9年間の義務教育の中で、授業や学校行事、校外学習を通して、多くのことを学んできました。この学びを糧としてさらに学びを広げ深め、新たなことに興味や関心をもって、主体的に生活して欲しいと思います。ここでお話したことは20年後や30年後のことではなく、卒業生の皆さんが二十歳になる頃のお話です。未来は開けています。夢や希望をもって、想像力を豊かにして、これからの人生を力強く歩んでください。

 結びとなりますが、保護者等の皆様におかれましては、今日まで子供たちを温かく見守っていただいたことに深く感謝申し上げます。ここにいる92名の子供たち一人ひとりの存在が、地域社会にとって未来を担うたくましい力になることを願い、私の式辞とします。

 

更新日:2021年03月25日 15:50:11