令和2年度 第4号

○0.99と1.01     校長  和田 孝

 

 人工知能の研究の第一人者である 新井 紀子 博士の講演会に参加したことをご縁にして読んだ博士の著『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社,2018年2月15日)から引用して、1について考えます。1と0.99の差は-0.01、1と1.01の差は+0.01、すごく小さな差ですが本当にそうでしょうか。本の中に「1未満の数字はいくらかけ算しても1より大きくなることはありません。けれども、1.1でも1.01でも、1を少しでも超える数は、かけ算を続けていくと無限に大きくなっていきます。」とあります。1に少し足りない0.99を2回かけると0.99×0.99=0.9801、1,000回かけると0.00001…となり、ほとんど0です。1より少し大きい1.01を2回かけると1.01×1.01=1.0201、1,000回かけると20,959.155・・・0.99と1.01はわずかな違いですが、かける回数が増えるとその差はとても大きくなります。

 さて、1を自分に置き換えてみます。日々の生活の中で雑になることはありませんか。「今日の家庭学習はこれぐらいでいいや…めんどうだな…」ということを毎日積み重ねると、成長が0になります。「今日は家庭学習を10分増やそう。もう少し丁寧に取組もう。」ということを毎日積み重ねると、大きく成長します。では、雑ではないけれど丁寧でもない毎日の生活はどうでしょうか。プラスもマイナスもない1のままです。1は2回かけても1,000回かけても1です。同じことの繰り返しでは成長につながりません。

 毎日、自分(=1)に少しずつ(+0.01)努力すると、10日後、1年(365日)後、3年(1,095日)後には大きく成長します。

更新日:2020年06月24日 13:53:57