【タイトル】

令和5年度 第11号

【本文】

「皆様のご協力に感謝いたします」                  校長 住吉 豊    令和5年度も間もなく終わろうとしています。この一年、保護者の皆様から教育活動にご協力をいただき、誠にありがとうございました。次年度は、PTA組織がなくなることが総会にて決定されました。年に何回もない保護者会においても、参加者がずいぶん昔に比べて減りました。社会情勢が昔と異なり、皆が仕事をもち忙しいことや、休暇を取りにくいこと等もあるのかなと思います。また、子供たちがある意味落ち着く中で、学校への関心が下がっているのかもしれません。昔は子育てを何人もした、ある意味ベテランの保護者の方が、子育ての悩みを抱えた保護者の方に対して、アドバイスをくださる等の保護者同士の情報交換や勉強の場でもありました。しかし、現在の状況の中では保護者同士の横のつながりも希薄となり、子供同士のトラブルがあった場合にも、保護者同士での解決が難しかったりすることも増えています。  PTA組織が無くなるということは、本校にとっては新しい試みとなります。今まで保護者の皆さんに割り当ててご協力いただいていた事は、新たにボランティアとして募集し、協力を仰ぐことになっています。誰かが引き受けてくれるだろうと、誰もが手を挙げなければ困ったことになるかもしれません。子供たちのために、色々な地域行事を考えてくださる地域の青少年育成団体の方も、五中の保護者の方が参加してくださるのか心配しています。本校の生徒は、ボランティア活動の呼びかけに対して大勢参加してくれています。保護者の皆様にもお忙しい日々だとは思いますが、次年度も教育活動へのご協力をよろしくお願いします。     「卒業おめでとう」  以下に、卒業式での式辞(校長の話)を載せました。ご覧ください。  校庭の桜のつぼみも薄紅色に膨らみ、春の息吹が感じられるようになりました。まずは、先ほど卒業証書を受け取った3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、この良き日に、第41回卒業式を挙行するにあたり、保護者、ご来賓のみなさま方に、ご臨席を賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。今日この式には、3年生全員が揃うことはできませんでしたが、先日私はここに出席できなかった生徒一人ひとりと会い、話を聞きました。どの生徒も卒業後はこんな風になりたい、こんなことを勉強したいと話してくれました。だから今日は、3年生全員が、共に未来に向かって旅立つ日になります。  さて、皆さん校庭の桜の木が、美しい花を咲かせるためには、何が大切だと思いますか。 それは立派な「根っこ」を、土の中にしっかりと張ることが大切なのだとか。雨風にさらされてもびくともしない、立派な「根っこ」を張ることが、やがて幹や枝が大きく成長することを助け、きれいな花を咲かせることにつながるのだそうです。 君たちに例えるならば、今は一人一人が「根っこ」をしっかりと土の中に張り巡らす時なのだと思います。「根っこ」とは、様々な学びを通して得られた「人間的な豊かさ」だと思います。それは、学校での学びによる「知識や思考」の深まりであり、生活の中で学ぶ「生きる知恵」であり、人とのコミュニケーションを通して学ぶ「多様な考え方」など多数あります。皆さんが、どっしりとした揺るぎない土台を作ることが、伸びる太い幹を支え、枝葉を伸ばし、やがてきれいな花を咲かせるのだと思います。 皆さんが保護者の方や先生に、褒(ほ)められたり、しかられたりした事も、根っこをしっかりと張り巡らすための、水であり、肥しであったのかもしれません。  土の中は、自分でもどうなっているか見当がつかないことがあります。だから、土台作りは地味で、不安になることもあるでしょう。ですが、未来を信じて、焦らず、一人一人が素敵な花を咲かせるために、これからも一日一日を大切に努力することを続けて欲しいと願っています。そんな、時間のかかる毎日の積み重ねが大切だと思います。   話は変わりますが、今こうして皆さんが卒業式を迎えている時にも、地球の裏側では爆弾の破裂音の下、息を潜め、生きるか死ぬかという命の境に置かれている大勢の人達がいます。皆さんはニュースを見て何を感じたでしょうか。見ることが辛くて見ない人もいるかもしれません。どんなに、「命は大切です」と学校で話しても、一発の銃弾や爆弾は一瞬にして人の命を奪い、人の生きる権利を踏みにじります。暗い地下室に避難した、疲れた表情の若い女性の方が、インタビューで話した言葉が心にしみました。「今、平和の大切さがよくわかる」と。日本人で戦場の悲惨さを、実際に目の当たりにした人達は随分と少なくなりました。広島で原爆を体験し、その悲惨な当時の様子を伝える語り部と呼ばれる人達の多くも、お亡くなりになりました。   私たちは、平和である国に生まれ育ち、それが当たり前だと思っているこの状況は、80年ほど前には当たり前ではなかったし、戦後こんなに長く平和な状態が続いている国は世界でも数少ないということを理解しなくてはいけないと思います。皆さんも、病気になって健康であることのありがたみを感じることは多いと思います。ですが、平和な世界を失って、初めて平和のありがたみを感じて欲しくはありません。どうしたら平和な日常を続けて行けるのか。自分はこれからどうかかわっていくのかを、これからの日本に生きる皆さんが、考え続けることが大切です。 最後になりますが、今日までお子様の健康を気遣い、良き成長を願って、本校の教育活動にご理解ご協力くださった保護者のみなさま。また、温かい目で成長を見守り、ご支援くださった御来賓の皆様、 御指導賜りました東大和市教育委員会の皆様に感謝を申し上げ、式辞といたします。 令和六年三月十八日 東大和市立 第五中学校 校長 住吉 豊


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